地域メタバースがつくる新しいライフスタイルと地域ビジネスの可能性

バーチャルオフィスが働き方を変える

新型コロナを契機とするテレワーク、リモートワークの普及は、都心のオフィスへ毎日通勤するという従来の勤め人のライフスタイルを革命的に変えました。勤め人の居住地はオフィス近接の通都市居住から、自然環境に恵まれた郊外へ、さらに地方都市まで選択肢が広がり、テレワークのための独立した部屋が確保できるゆとりのある住宅が求められるなど、住宅ニーズに大きな変化が見られます。

さらに、ワーケーションなど地域への長期滞在、農業ボランティアや二拠点・多拠点居住など新しい地域との関係が生まれつつあります。

この流れをさらに加速させると考えられるのが地域メタバースです。

ゲームやイベントが先行しているメタバースですが、今後は地域メタバースとしてのバーチャルオフィスとバーチャルスクールが注目されます。

メタバースの中に設置されたバーチャルオフィスは、リアルのオフィスのようなデスク、会議室などが配置されたフロアをメタバース上に再現し、社員はアバターで表示されます。自宅に居ながらオフィスに出社しているのと同じようなコミュニケーションの環境が実現します。

バーチャルオフィスの出現は会社内のテレワーク、リモートワークにおけるオンライン会議のような、時間の指定されたコミュニケーションだけでなく、リアルのオフィスと同様に常時リアルタイムのコミュニケーションを可能にします。バーチャルオフィスで仕事をしているアバターの社員に話しかけたり、意見を聞いたり、関係者を招集して打ち合わせを行ったりすることも可能です。特に注目されるのは障害や病気により外出困難な状況にある人々です。体を動かすことが困難な人々もバーチャルオフィスに出社して会社の会議に参加するなど、他の社員と同じように、常時職場で仕事をすることが可能となります。

遠隔地に住む社員も、地域に住む社員と共に、地域メタバースの企業オフィスや自治体のプロジェクチームのオフィスに席を設けて、リアルに近い形でプロジェクトに参加することが可能となります。

従来、大企業は地方に支社や支店を設置して営業活動などを行ってきましたが、リモートワークの時代になると、地域メタバース内にバーチャルの事務所を設置して地域住民から従業員を採用することも可能となり、地域の人材とともに営業活動を行うことが可能となります。地域に事務所を設置するまえにまずバーチャルオフィスを開設、地域のマーケティング調査などリアルオフィスの設置に向けた準備を進めることも可能です。

産業政策は企業誘致からバーチャルオフィス誘致へ

従来自治体は定住人口を増やすため、地域の雇用が確保できる工場やオフィスの誘致を行ってきました。地域メタバースを整備し、地域メタバース内のオフィスエリアに地元住民を雇用する企業のバーチャルオフィスを誘致することにより、地域のリアルの定住人口の拡大や経済の活性化につなげることが可能となります。しかも工業団地を造成することに比べて費用は圧倒的に少なく済み、企業にとっても交通費の支給が不要であり、低コストで人材確保が可能となります。全国各地からバーチャルオフィスに人材を集めることが可能となり、地域の企業の事業やプロジェクトにとって最適な人材を集めることが可能となります。

地域要件の見直しで地域プロジェクトにスタートアップが参画

自治体の事業の入札参資格要件も見直しが必要になります。従来の自治体の入札では、地域経済の振興や発注者との連絡、調整が必要とされたため、支店、営業所等が地域に所在すること、いわゆる地域要件が入札参加資格要件として必要とされてきました。 地域の営業所や支店などを置くことができるのは、大企業など規模の大きい企業か地元の企業に限定され、どんなに優れた技術を持っていても、あるいは情報システム関連などネットワークを通じてサービスを提供できる業種でも、スタートアップ企業の自治体事業への参画が難しいのが現状です。

一方、上記のテレワーク、リモートワークやクラウド型サービスの進展により、情報システム関連のサービスを中心とした多くの分野で、事業所オフィスの所在する場所と関係なくサービスを提供することが可能になっています。地域要件を見直して地域メタバース内のオフィスの所在を要件とすることにより、全国(さらには全世界)からの事業参加が可能となり、自治体事業の質や経済性を高めることが可能となっています。

地域のデジタル関係のプロジェクト、設計、デザイン等のオンライン参加が可能なプロジェクトにおいては、エストニアモデルにあるように、全国(さらには全世界)のスタートアップ企業を含む多くの企業がデジタル居住者として地域とのつながりを持ちながら、事業参加の機会を得ることにより、地域の経済を活性化させることが可能となります。

特に、今後の進展が期待される分野として、エデュテック、アグリテック、ヘルステック、フードテック、遠隔医療、行政の電子化等による地域課題の解決、地域資源への活用のためのデザイン、デジタルマーケティング、商品開発、EC、バーチャル店舗開設などへのベンチャー、スタートアップ企業の参加を促進することが重要です。 従来の地域拠点要件による支店、営業所のある大企業偏在の事業参画から世界的な企業からベンチャー、スタートアップに至る多彩なプレイヤーの参加を促進するための施策への転換が必要であり、このためには地域メタバース、メタバース居住者、バーチャルオフィスの施策を一体的・戦略的に実施することが今後の地域経済の発展にとって必須t考えます。

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